甲府盆地を見下ろす愛宕の家は、甲府城の愛宕山石切場上の水はけの良い敷地にあります。
心地よい風のぬけるLDKや書斎。
築35年の建物を子どもが独立したご夫妻のための終の棲家として地域の景観が配慮したフルリフォームの住まいです。
1階 終の棲家
家の入り方を変え、ゆったりとした玄関ギャラリーに迎えられます。
南北にリビングダイニングを配置して、庭に対して奥行きのある空間としています。
また西側から東側に向けてパブリックスペースからプライベートスペースの各機能空間を平面的に積層することによって、使い勝手がよく、スッキリと生活できる空間を提案しています。
住み続けるための配慮として、将来は1階だけで生活が完結できるように、全て引き戸によるバリアフリー化と車椅子で介助可能な広さのトイレとしました。
2階 スモールスペースからの景観
書斎にある造り付け机に座り前面の障子を開けると、階段室に設けられた書棚と連続的な空間となります。また同じ場所から南に目を向けると、廊下越しにテラスや空へとつながります。小さなスペースが「積層する空間」により広がりを持ち、ドラマティックで動きのある空間となりました。
地域への配慮
樹木の多い周辺環境や、石畳の景観にとけこむように、外壁には自然と馴染む落ち着いた色合いと素材を使いました。周辺の景観形成をリードしていく存在となるでしょう。
また玄関廻りを特徴づけている木ルーバーや、改修によって追加された柱には山梨県産の杉材を使うことで地域資源の活用を図っています。
敷地には接道側の北西から南東に風が抜けます。視線の多い方向からの風を取り入れるためにも木ルーバーと緑の配置が有効に働き、通風を有効利用できるプライベートな住空間が実現できました。
建て替えないというエコ
躯体に大きな不具合が見当たらなかったこと、廃棄物を増やすことへの懸念などから既存の建物を生かした改修という選択を取りました。改修による耐震・断熱性能の向上、太陽熱温水器、太陽光発電、LED照明、雨水利用などの設備利用により、地球環境に配慮した建物としています。
*耐震・断熱性能の向上
*太陽熱温水器
*太陽光発電
*雨水利用などの環境設備