山梨県のビル耐震化率がかなり低い 260711新聞記事より

建物は所有者だけのものではありません。ビルに限らず、住まいも商店も、所有者は街並みという景観をつくり、次の所有者に引継ぎができるよう、できるだけ長く使い続けること、という視点・心持ちを持ちたい。また自分が住む近くや通勤通学で通う道すがらの建物に関心を持ち、素敵な建物には称賛を、危険な建物には厳しい目を注ぐことを忘れない。そんな市民でありたいもの。

2026.7.11山梨日日新聞。山梨県内のビル耐震化率に関する新聞記事はそんなことを思わせるものでした。

6月に大月付近を震源とする震度6弱の地震がありました。県内の震度としては東日本大震災時よりも大きかったのでしょう。甲府市内で老朽化したビルの外壁が落下したこともあり、地域の新聞社が耐震化率の記事を一面トップに記載していました。

記事で取り上げている耐震化率とは、避難道路、緊急輸送道路沿いの一定以上の高さがある建物のうち、1981年5月以前に確認申請を出した建物=旧耐震基準の建物のうち、耐震改修が必要と診断されながら未改修である建物の比率。難しいですね。数字が大きいと問題あり、ということです。

記事によると、山梨は75.2%。ちなみに東京は41.1%(東京都耐震ポータルサイト参照)

母数となる旧耐震基準の建物数は山梨が336棟、東京が4829棟。

10倍以上建物がある都内の方が未改修率は低く、問題が少ないという結果。山梨残念。

 

コネクトは2011年頃に東京都の緊急輸送道路沿道建物の耐震化促進のための建物個別訪問の一員として、都内の道路を徒歩で訪問する仕事を行っていました。またその数年後には同じく都内の旧耐震マンション耐震化促進のための個別訪問にも携わっていました。少なからず旧耐震ビルやマンションの耐震化については関わってきた自負があり、こうした記事に目が留まります。

建築基準法の耐震基準は大きな地震が起きるたびに改正されてきた歴史があります。1981年の法改正は3年前の1978年におきた宮城県沖地震の被害を受けて改正されたもの。古いからといって法律に違反しているわけではありません。研究が重ねられた結果である現在の基準にあてはめると、耐震性が低かったという建物な訳です。

記事で取り上げている建物は、民間所有だけになかなか改善がされにくいもの。また法律や条例ができて、補助金が手当てされたとしても自己負担が生じる耐震改修は改修金額が大きく、ハードルは高い。とはいえ東京都の耐震ポータルサイトにある過去の耐震化率を見ると、2011(平成23)年のデータこそないものの、2015(平成27)年12月で72.9%ですから、15年前は今の山梨に近い耐震化率の数字になっているのです。

山梨ではより危険性が高いと判断された建物に甲府市の担当者が直接訪問しているようですが、2011年の東京都の個別訪問の対象は危険性の高低は関係なく、全ての旧耐震建物でした。都、市区町村、建築士の3名以上がチームになって、複数のチームを作って都内をくまなく歩きました。しかもアポなし。今では考えられない思い切ったプロジェクトでした。

2011年は東日本大震災の年。東京都の場合はたまたま大震災が後押して所有者の関心が向いてくれたことがあるにせよ、耐震化を進めるには長期的・継続的な後押しが必要です。山梨では旧耐震の建物の数こそ少ないものの、比率としては15年前の東京と同じなんだといことを、市民としても忘れず関心を持ち、街を見つづけたいものです。