読書好きの方には一度訪れてもらいたいミュージアムです。
文学に関するミュージアムは太宰治記念館、吉川英治記念館などのように一人の作家を取り上げた建物が多く、文学一般を対象にした総合文学館は多くありません。まして都道府県立の文学に関するミュージアムがあるところはさらに少なく、調べたところ10館、つまり10都道府県。これには福井県ふるさと文学館のように、県立図書館に併設されているところも含まれているので、単独の建物と考えるとさらに少ない。
山梨県には甲府に山梨文学館という建物があります。芸術の森公園の中に、ミレーの所蔵で有名な県立美術館と対をなすような配置で建てられています。二館の間には芝生と森の中に野外彫刻が点在する屋外庭園がある素敵な場所です。
先日この山梨文学館に行ってきました。主たる用事は文学館ホールで開催された表千家支部総会と講習会でしたが、終了後に企画展として開催されていた「かがくいひろしの世界展」に足を延ばしました。

読書習慣から遠ざかっていたので、県立美術館に行くことはあっても、文学館には寄らずじまいでしたが、この企画展は素晴らしかった。だるまさんシリーズの絵本作家、かがくいひろしの原画、スケッチ、手帳などが展示されています。
知らなかったのですが、作家デビュー後4年の2009年に急逝されていました。子供にいくつかの本を読み聞かせしていた記憶のある作家だったので、亡くなっていたことがショックだったのと、わずか4年で16もの作品を発表されていることに感激。絵本作家になるまでの特別支援学校教師時代の話など、よくまとまった内容に惹かれました。この作品たちを世に引き継いでいきたいと思わせる展示でした。2026年9月23日までやっているので是非。


さて文学館の建物は設計が大宇根・江平建築事務所、1989年開館。前川國男が建てた県立美術館の4年後に愛弟子である大宇根氏の出世作に当たる建物。2つの建物で一対になることをしっかり意識したつくりになっています。
外壁にはレンガ調タイルが使われ、ボリューム感のある外観。窓のない大きな壁面も単調にならないように凹凸やタイル表面の違いによって重厚な感じ。タイルは緑に映えますね。
内部も最近ではあまり見ない、大理石がふんだんに使われた内装と、吹抜け上部のボールト屋根。おそらく時間、時代が経ても褪せた感じのない空間ができています。
こんな素晴らしい文学館が山梨にあるだということをもっと宣伝して、誇りに持ちたい、そんな気分にさせてくれる訪問でした。