熊本で10年に2度目(正確には3度目)の震度7を観測する地震があった。夏の盛りの避難生活は、体育館では冷房などないだろうからどう過ごされているのか、本当に心配になる。
この心配は他人事ではない。山梨の新聞でも県内の小中学校体育館がどのくらいの割合で冷暖房が入っているかについて紙面を割いて書いていた。19%。全国平均よりも10%以上低い。我が町に災害が来たら、覚悟しなくてはいけない。
月数回、夜に近所の中学校体育館を借りてバドミントンをしていた。私よりも年齢が高い人も多く、夜とはいえ夏の暑さがつらいどころか、身の危険を感じるようになって、今季から少し遠い場所の冷暖房がある体育館移動して、快適になった。ここが自分たちの避難所ならありがたいが、そうではない。

この体育館の冷暖房設備を見て驚いた。もともと冷暖房がなかった施設に後付けをしたのであろう。一般的には2階部分にある点検用の廊下、キャットウォークの下に取り付けることで何とか見た目を保っているが、ここにはキャットウォークがない。壁面から鉄骨の架台を突き出して、壁面にズラッと冷暖房設備が並んでいる。おそらく上段が冷房で下段が暖房だろう。天井が高いので、暖房は輻射熱がメインのセラミックヒーターだろうか。
もともと冷暖房設備が設けられる建物として設計されていない体育館は、夏暑く、冬寒いのが通常運転。3~40年前の公立小中学校は学校全体が冷暖房を設けることを前提としておらず、ましてや体育館は天井が高く、冷暖房にはそもそも適していない空間サイズ。さらに「前提としてない」ので、設計者としては、教室棟などに比べて断熱・気密を考慮せずに設計してきた。ハリボテとは言わないが、雨風しのげる程度の外装しか持ち合わせていない。故に都内の体育館を学校開放と称して夜間利用すると、バスケットボールの音などが外部に漏れやすく、近隣苦情につながりやすい。
こういった既存体育館に冷暖房設備を入れるのはハードルが高い。ましてや避難所となれば、幼児から高齢者までが数週間から数か月滞在する事を想定せざるを得ず、設備の導入の前に、建物の断熱気密性能をスケルトン改修するくらいの心持ちで取り組まないと、実際の避難所として機能しない可能性がある。単に冷暖房設備を付けただけでは、想定以上に光熱費がかかる、冷風・温風が直接当たるのが耐えられない、冬の外壁結露でカビが生える、といったことは安易に想像できる。
文部科学省もそのあたりはわかっているらしく、冷暖房の前に断熱をしっかり、とホームページには謳っているが、どの事例も冷暖房工事よりも断熱工事の方がコストが高くなっている。面積の広い外壁、屋根に足場をかけ、人の手で工事をするのだから当然だ。
建物の基本性能は最初から高くしておいた方がいいというのはこういったことからも良くわかる。家づくりも同じ。設備は後から付け替えられるから、耐震・断熱・気密といった建物の基本性能は最初にしっかりお金をかけるべきところだと皆さん覚えておいてください。