間取りの工夫で極力廊下をなくしてコンパクトな規模に抑えた家

シホウニワ010 

家、というのはどのくらいの延べ床面積があれば必要十分な広さなのか。
とても難しい課題です。
家族構成、人数、ご高齢の方がいるかどうか、敷地形状、周辺環境。
持っているモノのボリューム、建てる時の年齢。
もちろん予算も関係します。
ということは回答はひとつではない、ということです。
建築家のしごとは、それぞれの家族にとっての最適解を毎回考えて、
こんな家がいいのでは?と提案することでもあります。
さて写真にある山梨市の住宅の場合のお話をします。
設計がスタートしたときは小学校入学前のこどもが二人いる家族でした。
ひと部屋で川の字になって寝る、仲の良い家族。
こどもには受験勉強などの一時期だけ個室を与えるけど
基本はワイワイと一緒に過ごすための広いリビングの方が大事。
間口がゆったりとした、広めの敷地で、西側にお寺の駐車場がある以外は
ブドウ畑が広がっていて、閉じなくてはいけない方向が少ない敷地でした。
そこで提案をしたのは、みんなで寝る寝室以外に個室のない家。
ダイニングキッチンは施主の希望でリビングから離し、
リビングだけで20畳もある広さを確保しながら、
全体で30坪を切る、コンパクトな平屋の家でした。
コンパクトな家の場合、いかに廊下を無くすか、
部屋と部屋をどうつなげるか、が重要になってきます。
この家の廊下は、写真の真ん中にある部分だけ。
手前が20畳のリビング、廊下を挟んで奥がキッチンです。
右側に見えるのが玄関。
廊下の突き当たりはキッチン動線にもなっているので、
お母さんがキッチンに立てば、家のほとんどが見渡せます。
廊下は、移動のための空間です。
気持ちの入れ替えができたり、ちょっとした風景が見えたりすると
移動時間も楽しく心地よくなるのですが、
冷暖房を用意しないのが一般的なので冬は寒くなりがち。
部屋から廊下へ出たら扉をピシャっと閉めるので
ますます他の部屋と一体で使うということは考えられません。
もし少なくできるのであれば、
少なくした方がメリットは大きいと思います。
仲の良い家族だったから実現した家なのかもしれませんが、
家が家族の距離を縮めることだってあるのだと思います。
コンパクトな家、考えてみませんか。

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