ちょっと涼みに滝に飛び込んでみました

そろそろ夏バテをしそうな忙しい毎日にも気分転換は必要。お盆の時期になると、朝晩はいくぶん涼しくなって過ごしやすくなりましたが、まだまだ暑い日が続きます。山梨には川遊びができる場所がいくつもあって、近所の滝つぼへ行ったり、ラフティング・キャニオニングといったガイドと一緒に遊べるものまでそれこそ選び放題。

先日は大月までシャワークライミングを体験してきました。渓流の流れの中を自分の手足で登る、というもの。ガイドを予約して、ウェットスーツにヘルメット、ウォーターシューズ、ライフジャケット、軍手とフル装備で出発。道路から見ているぶんには、対岸まで数歩という小川ですが、山合いにある急な流れと岩場のおかげで、隣の人の話し声も聞こえにくくなるくらいの渓流の音がざばざばとする環境。素人が足を踏み入れるのは難しい場所でした。

けれどガイド役の丁寧な手ほどきと、十分な装備に心も開放され、最後には滝つぼにドボン。半日もかからない工程でしたが、気分は見事にリフレッシュ。前日に企画したとは思えない異世界を体験することができました。

帰り道はお気に入りの織水カフェへ。ここは道路からわずか1mほど降りた川の三角州のような場所で、古い水道橋が川の上を通ることでエアポケットのような時間が流れる場所。20mほど離れた川の対岸には大きな木が1本育ち、カフェ以外はこの三角州に建物がないのも驚き。オーナーが手作りした内装に囲まれて、美味しいひと時を過ごしました。

玄関の床をモルタル土間で作って家族の記憶に残るものにしませんか

家づくりに自分たちも参加したい、というお施主さんの気持ちを何とかしてかなえようと考えてみても、現場の進み具合と建て主のお仕事の調整がなかなか難しい、そんなことありませんか。

壁の左官を塗りたい。クロスを貼ってみたい。

ひと部屋の壁を塗るだけでも、初心者には丸一日かかる作業だったりします。それが数部屋となると、会社勤めの方の場合は数日休みを取ることになり、しかも身体は休みよりもぐったり疲れてしまったり。

ただ、家づくりに自分たちの手の跡を付けてもらうことは、ものに愛着を持つのと同じで、できればやったいただきたい作業でもあります。

そんな時におススメなのが玄関やアプローチの床仕上げ。

 

さて、玄関の床、何で仕上げていますか。雨にぬれ、夏も直射日光にさらされるアプローチや玄関の床を何で仕上げるのか。防滑性、耐久性を考えるとそれほど選択肢は多くありません。一般的なのはタイル。石貼りも多いですが、天然石に負けない表情のタイルが多くなって、タイル貼りが多いでしょうか。

施主参加に適した床仕上げはモルタル、コンクリートの仕上げです。

コテで平坦に仕上げたり、刷毛引きをして滑りにくくしたりでき、階段やスロープなどの形状も自由なモルタル仕上げは、ちょっとしたDIY参加にもってこいです。

コネクトが何度か実践したのは、モルタル面にビー玉を埋めて、アクセントとする仕上げ。庫裏のアプローチに施した時は、門徒さんの子供たちにも参加してもらって、ワークショップ的にワイワイと作業しました。部分的な作業ながら、子供にとっては成長した後も、このビー玉は私が埋めたもの、という記憶に残っているのではないでしょうか。

この住宅では玄関内のコテ仕上げ部分にビー玉を施工。まだ幼いこどもだったので、足場から一歩はみ出してコテ仕上げ部分を汚してはいけないと、あまり多くのお手伝いは難しかったのですが、シュークローク内には家族の手形もつけて、成長の記録も付けました。

いつしか次の世代に引き継いだ時にも、記憶をつなげてもらいたいですね。

玄関ホールを生活空間の一部とするためのあれこれ

家の間取りを考える時、廊下を通ってそれぞれの部屋につながることを前提にするのはやめましょう、とよく言われています。「廊下」が本当に必要なのか、無駄な空間になっていないかを一度考えましょう、ということですね。リビングを通って各部屋につながるような配置、間取りができるようであれば、廊下は無くてもいい。

では玄関や玄関ホールはどうするのか。靴を脱がない生活をするならまだしも、下足を脱ぐ場所としての玄関はどうしても無くせません。靴を収納するスペースも玄関廻りに必要です。玄関ホールは小さくても無くせない場所になります。

コネクトでは廊下は極力なくす一方で、玄関ホールは広く確保します。なぜなら、玄関ホールを帰宅時の通過動線とだけ考えず、いろいろな使い方ができる場所にしているからです。様々な事例を紹介してみましょう。

墨モルタルで仕上げたこの玄関は、京都の長屋のように細長く、部屋と並行して配置されています。奥に見えるのが玄関扉で、実は反対側には庭に出るためのもう一つの出入り口があります。まさに長屋の通り土間と同じです。

雨の日には自転車を入れ、雨合羽をいくつかけても大丈夫。リビングからよく見えるように、建具はガラスの框扉とし、横には腰窓を設けています。玄関扉を開けてもリビングまでは見渡せないので、夜も天井の裸電球を灯すことで、リビングの一部として玄関までの広がりを感じられる仕上がりです。

しっとりとした和の雰囲気のあるこちらの玄関は点前右手にある白い4枚引き戸によってリビングとつながっています。つまり、全開放すればこのように玄関がリビングの一部としてつながります。玄関扉は正面右手にあるので、こちらも来客にリビングまでは見通せません。

また写真では少しわかりにくいですが、正面のスポットライトが当たっているところは、自窓から上部の壁までが出窓のようになっています。地窓上枠には奥行に納まるように木製のカウンターが設けられ、わずか12センチ程度ですが、ここを床の間として飾り付けができるようにしてあります。出窓上部にはハンガーレールが付けられ、季節の軸飾りができます。カウンターには一輪挿しからちょっとした花飾りや、置物を置くのもかわいいですね。

こちらの玄関は少し変わった施主の要望から生まれた通り抜け玄関。墨モルタルの玄関の手前側がリビング、そして奥側がダイニングになっています。来客をにはお茶を出したり、お話ししたりするので、基本的にはダイニングにお通しする。反対にリビングは家族だけのスペースと割り切っているので、あえて2つに分割しています。玄関はその間に挟まれるように配置しています。実際の生活では、土間の濡れている部分にスノコが置かれて、家族の行き来もできるような場所です。

写真では扉が収納されていますが、床にレールがある場所に扉があり、玄関とリビング、玄関とダイニング、それぞれを仕切ることができます。真冬や真夏でない限り、通常は開放してお使いいただいている、そんな玄関です。

 

このように、くつぬぎの場所だけではない使い方ができると、玄関が魅力的な場所として生活と寄り添った場所にすることができます。皆さんも工夫されてみてください。

体育館を避難所として使うために空調設備を入れる、その前に

 

熊本で10年に2度目(正確には3度目)の震度7を観測する地震があった。夏の盛りの避難生活は、体育館では冷房などないだろうからどう過ごされているのか、本当に心配になる。

 

この心配は他人事ではない。山梨の新聞でも県内の小中学校体育館がどのくらいの割合で冷暖房が入っているかについて紙面を割いて書いていた。19%。全国平均よりも10%以上低い。我が町に災害が来たら、覚悟しなくてはいけない。

 

月数回、夜に近所の中学校体育館を借りてバドミントンをしていた。私よりも年齢が高い人も多く、夜とはいえ夏の暑さがつらいどころか、身の危険を感じるようになって、今季から少し遠い場所の冷暖房がある体育館移動して、快適になった。ここが自分たちの避難所ならありがたいが、そうではない。

この体育館の冷暖房設備を見て驚いた。もともと冷暖房がなかった施設に後付けをしたのであろう。一般的には2階部分にある点検用の廊下、キャットウォークの下に取り付けることで何とか見た目を保っているが、ここにはキャットウォークがない。壁面から鉄骨の架台を突き出して、壁面にズラッと冷暖房設備が並んでいる。おそらく上段が冷房で下段が暖房だろう。天井が高いので、暖房は輻射熱がメインのセラミックヒーターだろうか。

 

もともと冷暖房設備が設けられる建物として設計されていない体育館は、夏暑く、冬寒いのが通常運転。3~40年前の公立小中学校は学校全体が冷暖房を設けることを前提としておらず、ましてや体育館は天井が高く、冷暖房にはそもそも適していない空間サイズ。さらに「前提としてない」ので、設計者としては、教室棟などに比べて断熱・気密を考慮せずに設計してきた。ハリボテとは言わないが、雨風しのげる程度の外装しか持ち合わせていない。故に都内の体育館を学校開放と称して夜間利用すると、バスケットボールの音などが外部に漏れやすく、近隣苦情につながりやすい。

 

こういった既存体育館に冷暖房設備を入れるのはハードルが高い。ましてや避難所となれば、幼児から高齢者までが数週間から数か月滞在する事を想定せざるを得ず、設備の導入の前に、建物の断熱気密性能をスケルトン改修するくらいの心持ちで取り組まないと、実際の避難所として機能しない可能性がある。単に冷暖房設備を付けただけでは、想定以上に光熱費がかかる、冷風・温風が直接当たるのが耐えられない、冬の外壁結露でカビが生える、といったことは安易に想像できる。

 

文部科学省もそのあたりはわかっているらしく、冷暖房の前に断熱をしっかり、とホームページには謳っているが、どの事例も冷暖房工事よりも断熱工事の方がコストが高くなっている。面積の広い外壁、屋根に足場をかけ、人の手で工事をするのだから当然だ。

 

建物の基本性能は最初から高くしておいた方がいいというのはこういったことからも良くわかる。家づくりも同じ。設備は後から付け替えられるから、耐震・断熱・気密といった建物の基本性能は最初にしっかりお金をかけるべきところだと皆さん覚えておいてください。

 

 

玄関扉を引き戸で作りたいときに配慮すべきこととは

和の生活の良いところを積極的に取り入れたいと考えているコネクトとしては、玄関扉の選択肢はまず引き戸です。お客様を迎える時に、開き戸はどうしても一歩下がる必要があり、心理的に少し遠くなる。これが引き戸だと横に移動させるだけなので、気持ちが途切れない。そんなこともあり、家づくりの設計を始めた20年ほど前は、条件が許せば玄関扉は自由に設計して木製の造作建具で作ることを好んで実践していました。扉の脇にはめ殺しのガラス壁を設けたり、表面に貼る木の材質を何にしようか考えたりと、家の顔ともなるべき場所はその家族にとってのオンリーワンになるように工夫していました。

ちなみに条件とは、敷地に防火地域・準防火地域などの防火地域設定がされていて、延焼の恐れのある範囲に玄関扉が含まれている場合、木製は難しいのです。

時代を経て建物の性能が重視されるようになり、特に開口部には数値で示された高い断熱性能のある樹脂サッシなどが使われるようになりました。玄関扉も例外ではなく、LixilやYKKなどの既製品のエントランスドアからセレクトするだけになることが多くなりました。その時になって既製品のラインナップがおかしいことに気づきました。断熱性能を重視すると、玄関扉では圧倒的に開き戸の方が種類豊富なんです。

引き戸や引き違い戸は昭和スタイルのままのデザインしか選べず、断熱性能も低い。玄関扉に限定せず、「窓」であれば引違いや片引き戸のサッシは一般商品で選択肢も豊富なのに、玄関には新たなラインナップは増えない。これも時代の流れか。家がコンパクトになって、間口の広い玄関、引違いの引き戸がつけられる玄関が減っているので仕方ないのでしょうね。事実私たちも引き違い戸のある玄関は、新築では設計したことがありません。

さて既製品ではなく、造作建具で片引き戸を玄関に設ける場合に配慮すべきことは何でしょうか。次に4点ほどあげてみます。

1 断熱性能は少しあきらめる

造作の片引き建具の場合、上下部分に隙間を設けることでドアがスムーズに動くことができています。全て閉めた状態で作動すれば隙間を埋めてくれるような金物がありますが、それも完全な気密性能を確保することは難しく、玄関扉に高い断熱性能を求めてはいけません。よって玄関ホールの夏は暑く、冬は寒いと自覚しておきましょう。

造作ではなく、断熱性能はしっかり確保したい場合、建築家の伊礼智さんとユダ木工が共同開発された「MIYAMA桧玄関引き戸シリーズ」がおススメ。さすが伊礼さん、かゆい所に手が届くような商品をつくられています。残念ながらコネクトではまだ使う機会が訪れていません。

 

2 沓摺はあえて段差を設ける

引き戸イコール床の段差なく、バリアフリーな出入口、というイメージがあるかもしれません。吊引き戸にすれば実際に段差ゼロの出入り口を作ることは可能です。ただどうしても砂ぼこりやゴミが土間部分に入りがち。わずか5ミリくらいでも良いので段差があった方が室内がきれいに保てます。

 

3 網戸を別途設けるかどうか考える

引き戸の場合、比較的簡単に網戸を設けることができます。プリーツではなく、木枠のある網戸です。もちろん玄関なので、防犯性を優先すれば網戸はアウトですが、一時的な風の通りを確保して、夏であれば遠方から帰宅した時の熱気を逃がす時などに重宝します。人の気配を感じたいから、といってあえて網戸を設ける場合もあるでしょう。

 

4 引き戸ハンドルは経年で緩むと知っておく

これは我が家だけの現象かもしれませんが、築20年以上にもなると、ビス穴が広がるのか、乾燥で木がやせてくるからか、ハンドルは緩んでいます。不便ではないので、問題ない範囲です。扉を開ける時に、固定している方向と直交する力が毎回かかっているので、仕方ないと知っておきましょう。

 

このような配慮事項を事前に知って、納得できるようであれば、造作建具の玄関扉がおススメです。既製品の木目のシート貼りではなく、本物の木を使って、色味もデザインも自由に玄関扉を作ってはいかがでしょうか。

山梨には県立の文学館がある 「かがくいひろしの世界展」は必見です

読書好きの方には一度訪れてもらいたいミュージアムです。

文学に関するミュージアムは太宰治記念館、吉川英治記念館などのように一人の作家を取り上げた建物が多く、文学一般を対象にした総合文学館は多くありません。まして都道府県立の文学に関するミュージアムがあるところはさらに少なく、調べたところ10館、つまり10都道府県。これには福井県ふるさと文学館のように、県立図書館に併設されているところも含まれているので、単独の建物と考えるとさらに少ない。

山梨県には甲府に山梨文学館という建物があります。芸術の森公園の中に、ミレーの所蔵で有名な県立美術館と対をなすような配置で建てられています。二館の間には芝生と森の中に野外彫刻が点在する屋外庭園がある素敵な場所です。

先日この山梨文学館に行ってきました。主たる用事は文学館ホールで開催された表千家支部総会と講習会でしたが、終了後に企画展として開催されていた「かがくいひろしの世界展」に足を延ばしました。

読書習慣から遠ざかっていたので、県立美術館に行くことはあっても、文学館には寄らずじまいでしたが、この企画展は素晴らしかった。だるまさんシリーズの絵本作家、かがくいひろしの原画、スケッチ、手帳などが展示されています。

知らなかったのですが、作家デビュー後4年の2009年に急逝されていました。子供にいくつかの本を読み聞かせしていた記憶のある作家だったので、亡くなっていたことがショックだったのと、わずか4年で16もの作品を発表されていることに感激。絵本作家になるまでの特別支援学校教師時代の話など、よくまとまった内容に惹かれました。この作品たちを世に引き継いでいきたいと思わせる展示でした。2026年9月23日までやっているので是非。

さて文学館の建物は設計が大宇根・江平建築事務所、1989年開館。前川國男が建てた県立美術館の4年後に愛弟子である大宇根氏の出世作に当たる建物。2つの建物で一対になることをしっかり意識したつくりになっています。

外壁にはレンガ調タイルが使われ、ボリューム感のある外観。窓のない大きな壁面も単調にならないように凹凸やタイル表面の違いによって重厚な感じ。タイルは緑に映えますね。

内部も最近ではあまり見ない、大理石がふんだんに使われた内装と、吹抜け上部のボールト屋根。おそらく時間、時代が経ても褪せた感じのない空間ができています。

こんな素晴らしい文学館が山梨にあるだということをもっと宣伝して、誇りに持ちたい、そんな気分にさせてくれる訪問でした。

樹脂サッシとアルミ樹脂複合サッシを適材適所に使い分ける

素材別のサッシの使い方。専門家でなくても知っておいて損はありません。

サッシとは10年ほど前まではアルミサッシを意味していました。ここ数年で樹脂サッシの価格破壊ともいえる普及が進んだため、断熱性能が高く、しかも価格がある程度入手しやすくなりました。今は樹脂サッシで計画するのが正しい選択と考えます。断熱性を少しでも考えるのであれば、アルミサッシはもう古いと言えるでしょう。

とはいえ樹脂サッシが選びやすくなったのは木造の住宅の場合だけ。コンクリート造や鉄骨造用のサッシはまだまだアルミサッシが主流です。木造用のサッシはビスをもんでサッシの枠と躯体を固定しますが、コンクリートや鉄骨の場合は鉄の「溶接」が必要なため、熱に弱い樹脂はまだ開発が進んでいないのでしょう。

また樹脂とアルミとでは素材自体の強度としてはアルミの方が高いため、樹脂で同じ強度を持たせようとすると、可動部分の障子というガラスを支える枠が大きくなって、ガラス面が小さくなってしまうという難点もあります。

他にも樹脂サッシではヨコに数枚のサッシが連続する連窓や、タテに連続する段窓を計画して大きな開口部をつくろうとしても、選択肢が限られてきます。自由度がまだまだアルミサッシには及ばない、ということですね。

三角形や台形の窓、吹抜けに面した大きな窓を設ける場合は、外側はアルミ・内部は樹脂の複合サッシであれば選択可能です。

コネクトでは、断熱性能が高い樹脂サッシを基本としながら、ひとつの家でも設置場所や実現したい開口部の大きさなどによってサッシの種類を適宜選択しています。

写真にあるツラナルノイエの場合は中庭に面した部分に多くのサッシがあり、中庭越しの光を家の中に取り入れています。結果、同じ面積の住まいより枚数の多いサッシが必要とされました。長期優良住宅の認定を確保するため、ある程度高い断熱性能のサッシを採用することが条件となっていたので、多くのサッシを樹脂としています。

一方、中庭に面するサッシは少しでも明るさを室内に取り入れたい、という意向から枠が小さくなる樹脂とアルミを合体させた複合サッシを採用しました。写真にある左側の壁面は樹脂サッシ、右側の壁面はアルミ樹脂複合を使い分けています。

一見するとわからないように、細かな工夫が重ねられています。

ハオルチアに花が咲いた

都内とは違って山梨では窓の外に緑がいっぱいあります。それでも仕事場、それもパソコンのあるデスクの周りなどの手の届く範囲に緑があると癒されませんか。

デスクトップグリーンとして置いているハオルチア玉扇(ぎょくせん)。 ハオルチア・トゥルンカータ。多肉植物のひとつで棘はありません。鉢が手のひらサイズの小ささなので、葉は長いものでも5センチくらい。机に住まわせてからそろそろ2年経ちますが、その間、葉の本数が数本増えたかなという程度で、成長が非常にゆっくりしています。水やりを忘れてしまうこともしばしば。

あまりに変化が少ないので、枯らしてしまったかと勘違いしていたら、先日気づいたら茎を1本伸ばしていました。茎も0.5mmのシャープペンシルの芯くらい細く、触れたら折れそうなくらい。調べてみるとこの茎の先に花が咲くらしい。心待ちにしていると20センチくらい伸びたところで3~4花の可憐な小さい花を咲かせてくれました。

大丈夫だよ、生きていいるよ、と反応してくれたようでささやかな喜びの数日でした。花を咲かせることはエネルギーを使うらしく、あまり長く鑑賞せずに切ることも大事と知り、写真を撮った数日後にサヨナラしました。元気な姿を見せてくれてありがとう。

中庭に向けて明るく開放的な階段室をつくるためのサッシの工夫

明るく開放的な階段を作りたい、という方必見です。

長屋のように南北に長い敷地に立つ家。真ん中に坪庭を設けて、光と風の抜ける家としています。今日のお話はそんな坪庭に面した明るく開放的な階段室の作り方について。

 

「明るい階段にしたい」。以前の家の階段室が暗かったため、階段をとにかく明るくしたいというのがご夫婦のたっての希望でした。そこで階段室を先ほどの坪庭を眺めながら登れるような場所に置いて、できるだけ多くの窓を設けるようなプランニングを提案しました。

坪庭に面した階段室のメリットは、坪庭だけあって、お隣さんからに視線を気にすることなく、思い切り開放的な階段室が作れそうだったところ。

逆にデメリットは、階段室を置く場所。間口の狭い敷地のため、坪庭に面することができるのは、南北それぞれ1室のみ。坪庭のさらに南側にある部屋に光と風を取り込みたいので、南向きの階段室にしてしまうとせっかく坪庭に面していた南側の部屋が、階段室があることで暗くなってしまう。よって必然的に北向きの階段室にならざるを得ません。

階段室は普通の部屋と違って、2層吹き抜けの高さがあります。明るくしたいとはいえ、北側の縦に長いガラス面は、コールドドラフトといって、冬場に冷気がサーッと吹き下ろす場所になりやすい。家全体の断熱性を考えたら、本当はご法度な開口部です。そこで寒さ対策は万全にすべし、というのが課題になりました。

さて、設計の初期段階から大まかな方針が決まっていたので、建物の構造的にも工夫を盛り込みました。写真を見ていただくとわかりますが、2階の床にあたる部分の梁を無くしています。代わりに踊り場の高さに梁を下げることとしました。実はこれは簡単なことではなくて、専門用語で床剛性を別の場所で確保し、構造計算が成立するようにしているのです。

断熱性能を犠牲にしないよう、樹脂サッシとLow-E複層ガラスふんだんに使って、サッシのカタログを睨めっこしながら、製作可能サイズと踊り場高さ、階段などの寸法調整を重ねてできたのがこの階段室です。

 

一番大きなガラスのサイズが、縦2.37m×横1.62m。開閉できるサッシは他の場所に十分あったので、ここはあえてはめ殺しとして少しでもガラス面を大きくしました。

製作可能なサッシ高さの関係で、梁がもう一本必要だったので、こちらは2階内部の手すり高さに揃えました。

サッシを使わずに、ガラスを直接躯体に固定する方法もありますが、コールドドラフトで結露する可能性がゼロとは言えません。安全を見て、サッシを使い、結露水を受け止めてくれることを期待しました。

写真ではわかりにくいですが、梁部分の外部側は外壁材を細かく貼りつけ、内部はグルっと三面プラスターボードを貼ってペンキで仕上げてあります。手間のかかる、職人さん泣かせな工事だったでしょう。図面を書くのは簡単ですが、それも実現しようと骨を折ってくれる職人さんあっての話。この場を借りてお礼申し上げます。

大きなはめ殺しガラス、しかも2階の高さに窓があるような場合は、私たちはガラス拭きが難しいことをあらかじめ建主に説明するようにしています。開閉できるサッシの場合は何とか外側も拭ける構造になっていますが、このガラスはそれも不可能です。説明を聞いたご主人は、長〜いモップを用意して自分で清掃するから大丈夫!と言っていただきました。

最後にもう一つ。階段室の奥、2階の壁にも腰高のガラス窓があります。ここはダイニングテーブルに座った時に坪庭を見下ろすための腰窓。ある時、模型を作って階段室の説明をしていたところ、「2階のダイニングからも坪庭を見下ろしたい」とご要望をいただきました。要望通り、もしかしたらそれを超える階段室が出来あがりそうなことに、ワクワク感が止まらなかったのだと想像します。

坪庭に面する階段、廊下の窓にはカーテンやブラインドは一切不要なように目隠しを確保しています。家に帰ってきた夜、1階の個室からごはんを食べに上がる時、いつでも気分のリフレッシュする階段ができたのではないでしょうか。

 

そんなこんなで実現したのがこの開放的な階段室、というわけです。書いてみると、たった一つの階段室でも建主の要望、敷地の条件、施工の大変さなど、多くの物語を経てここに出来上がっているのです。そのおかげで同じお金を使っても納得感、達成感が違うものができあがるのが建築家との家づくりの醍醐味です。いちど体験してみませんか

石和温泉のゲストハウスに併設されていた不審庵の写しでミニお茶会

前回のブログでお話しした都内の友人が来訪する話には続きがあります。山梨に来るにあたって、宿泊先をネットで探してくれ、予約してくれたのがゲストハウス璃洛(りらく)。気軽に集まりたいからコスパ重視で、素泊まりで予約しておきました、と聞いて正直全く期待していませんでした。場所は事務所の近くの石和温泉。料理好きなメンバーがいて、近くにワイナリーもあり、夜は買い出しして部屋飲みかな、と考えていました。ところが、ホームページを拝見すると、館内に源泉かけ流しの温泉が3ヶ所。アプローチが和風旅館のようにしっとり感がある。宿泊室以外にキッチンや広間などの共有スペースがしっかりあることが判明。

さらに驚いたことに、共有スペースの一角にお茶室まであるらしい。写真を見て、これは茶道稽古人として、お茶を一服差し上げねばという気持ちがふつふつと沸いてきました。友人らがお茶のことなど何もわからなくとも、同じ建築学科出身であれば、空間としての茶室を楽しむことはできるであろう、とも考えました。

室内から見た茶室
茶道口から見た内観

まだ自前の茶道具をひと揃え持っているわけでもないので、薄茶一服と和菓子をお出しするために、現地にないものを前もって見ておこうと、璃洛に事前視察に行ってみました。

エントランス脇の屋内に小庇付きの茶室があり、廊下から小さな石庭に降り、つくばい、躙り口がある。内部は3畳台目、床の間、水屋がある。水屋にはかなり充実した道具も並んでいました。茶巾を持っていけば何とかなりそう。

調べて分かったのが、表千家の代表的な茶室・不審庵の写し。不審庵に入ったことはないので、調べた範囲ですが、茶道口が脇入りになっている点が違いますが、床柱・違い棚・天井・給仕口などは正確に写されていると思います。私が習っているのが表千家なので、偶然の出会いに感謝でした。

申し訳ないけど季節や会のテーマに合った道具の選定、といったことを今回は抜きにさせてもらいました。夜の宴の準備を考えると、当日は準備片付けを含めて1時間。

当日は茶杓が無いことが判明して仕方なくスプーンで代用したり、電気釜のコンセントが点前付近になく遠くから引廻すことになったりと、小さなハプニングはありましたが、メンバーは作法など分からなくても、空間も薄茶も楽しんでいただいた様子。おかわりが続き、会話も弾みました。

スタッフに茶室のことを聞いても作られた経緯などはわからず、茶室としての活用もしたことがないくらいの返答でした。蹲の水の出し方がわからず、炉畳の下地が入っていないのか畳が凹んでいたりと、少しもったいない。宿泊者は無料で利用できるので、遠方から来る方をもてなすにはとても良い施設だと思います。