木造住宅の耐震診断、という言葉を聞いたことはありますか?
昭和56年以前に建てられた住宅の場合、
地震に対する強さの基準となる法律が緩かったために
直下型の地震に見舞われた場合に建物が倒壊する恐れがあります。
そこで市区町村の単位で個人の所有する住宅であっても
地震に強くなるような補強を進めていただくために
補助金を出して耐震診断、耐震改修を推奨しています。
事務所のある中野区でも、耐震診断の補助金が利用できます。
私は数年前から中野区で耐震診断士の資格を取得して
耐震診断のお仕事もやってきました。
ただし中野区は、診断をしても、補強工事である耐震改修には
補助金がない、東京23区でもめずらしい区でした。
それが先日の区長選挙で、ようやく耐震改修に補助金を出すことを
公約で掲げていた区長が当選したのです。
全く画期的なことではなく、当たり前の基準に追いついただけなのですが
うれしいことは確かです。
耐震診断に訪れる家は、たいていの場合、長い期間住み続けた
若くはない世代の方が多く、
耐震診断をして、補強方法を検討したところで
その後の工事にすすまれる確率は非常に低かったと思われます。
実際のところは、設計事務所を営む私のところに
改修工事の依頼はこないのでわかりませんが、
リタイヤした世代にとって、
資金面だけではなく、
工事に伴う荷物の移動や気苦労といった精神的な疲れなども
大きな負担だと思います。
そこを資金面だけでも一部の補助することが
市民の生活をより安心できるものになるのだから、
やっぱり政策転換は大事なことです。
予算の話があるでしょうから、区の耐震制度が
すぐに変わるわけではないでしょうが、
良い方向に動き出していることは確か。
期待しながら見守りつつ、きょうも耐震診断のために
屋根裏に上りました、というお話でした。