佛念寺庫裏 一年検査


昨年お引き渡しした佛念寺庫裏の一年検査を行いました。建物がひと通りの季節を経験することで生じる歪みや、季節ものの設備に工事上の不具合がないかなどを施工した工務店さんとともに見て回る検査です。
木は生き物です、と言われるように木造の場合は躯体そのものが伸縮するので、引き戸が滑りにくい、鍵が閉まりにくい、左官の外壁にヒビが入った、というようなことも全く無縁ではいられません。
設計の段階、施工の最中なども説明してはいるものの、住まい手にとっては気になるもの。
こういったメンテナンスをするために、工務店と共に我々設計の人間も長いお付き合いをさせていただくことが大切です。

あと工事で作った造作の二段ベッドも居心地抜群です。少し大きめに作ったので、まるでひと部屋増えたかのよう。

こちらは二箇所ある仏間の祭壇に飾られた、門徒さん作の手彫り仏像。新品の仏像、なんてあまり見る機会がないので、まじまじと観察させていただきました。

設計が始まってから約二年半。コンペ、建設委員会での議論、合板を使わない家づくりなど、さまざまな過程を乗り越えてできた建物は私たちの思い入れもひとしおです。住職ご家族、門徒さんたちも末永く満足いただけることでしょう。

31会vol.29パークタワー来場御礼

3日間に渡り開催された、建築家31会のイベント。ご来場いただきありがとうございました。

今回は模型の展示数を減らして、建築家の個性がわかりやすいような会場レイアウトでした。
トークショーも盛りだくさんで私たちでも「なるほど〜!」というような内容も沢山ありました。

会場で相談された方も多くの情報を持ち帰れたのではないでしょうか。

31会は次回1月に江東区で開催する予定です。よろしくお願いします!

この週末、新宿パークタワーで建築家と家の話をしよう

全国で活動する建築家30余名が新宿パークタワーに集まり、無料相談会、模型展示、家づくりトークショーなどを開催します。入場は無料です。コネクトも参加しています。

なかなか会う機会のない建築家、敷居の高いと思われている建築家ですが、話してみるとそんなことはなく、フレンドリーなこと間違いなしです。2011年にスタートして、今回で29回目。まだの方はぜひ会場までおこし下さい。

2018年11月9日(金)~11日(日)
10~18時(初日のみ12時~)
新宿パークタワー1階 ギャラリー3

建築家31会

 

 

Low-E ガス入り 樹脂サッシ

それぞれの居場所をしつらえた中庭のある家では、サッシ工事が始まりました。
今回この住宅では樹脂サッシを全面的に採用しています。
サッシにはアルミ、アルミ樹脂複合、樹脂とおおきく3種類のサッシがあります。
数年前は樹脂サッシのラインナップが少なかったものの
リクシル、YKK共に日本の家の断熱性能を良くしようと
樹脂サッシの値段がぐっと下がってきました。
樹脂にするとサッシの額縁が大きくなってしまい、不格好という向きもありますが
中庭があり、窓が多くなったこの家では断熱性能を優先。
YKKのAPW330 という樹脂サッシを基本に採用しました。
ガラスはLow-E複層。
3~4ミリの2枚のガラスの間に空気層を設けることで
断熱性能を確保したのが複層ガラス。
さらに2枚のガラスの内側に特殊な金属膜を吹き付けて
断熱、遮熱性能を向上させたのがLow-E複層ガラス。
樹脂サッシであればLow-E複層が最低ラインの性能でしょう。
その上には空気層を真空にした真空複層ガラス、
2枚でなく3枚のガラスにすることで空気層をダブルにした
トリプルガラスという選択肢もありますが、
ここでは空気層にアルゴンガスという特殊なガスを
封入したものを使いました。
特殊といっても普通にラインナップされているものです。
さらに2枚のガラスをサンドイッチして留めておくパッキンに
アルミではなく樹脂をつかったものを採用しています。
これらはYKKの品川ショールームで教えてもらいました。
業者向けの特殊なショールームで、実際に熱や結露を比較体験しながら
製品選択時の参考になる商品を見ることができます。
残念ながら業者と一緒でないと見れませんが、
細かい部分まで手の届く設計が少しでもできたのも
ここでの勉強のおかげと思います。
何気に大工さんが付けているように見えるサッシも
さまざまな条件から選択した製品だったりするんですよね。

透湿抵抗の低い外壁合板を使う


少し専門的なお話。
外壁に下地用もしくは耐力壁用として合板を貼る場合、透湿抵抗の低いものを選ぶことをおすすめします。木造の場合、躯体内を乾燥した状態にすることが大事だからです。
湿度を低くしないと、シロアリの被害が受けやすく、また柱梁の腐りの原因にもなります。
冬季の温度差の関係から、室内側からの湿度が躯体内に入ることに関しては、気密シートでシャットアウトすることがやっと一般的になってきました。
たまに知らない職人さんもいるけど。
では外側はどうか。
合板を貼った上に透湿防水シートといって、ゴアテックス素材の住宅版のようなものを貼ることになります。写真の白いシートですね。ではその下に貼ってある板はどうなのか。
一般的に耐力壁用の板というと、構造用合板といって針葉樹合板が多く使われます。ホームセンターにも置いてある、コンパネと同じく一番安い部類の合板です。しかしこの構造用合板が湿気を通しにくい。
一度躯体に入ってしまった湿度は、気密シートのおかげで室内側に抜けることはできず、透湿防水の機能をもつ外側にしか排出できません。
そこで私は耐力壁の機能を残しつつ、湿度を通しやすい板ものとして、ダイケンのダイライトMSを使っています。
少し値段は上がりますが、後から変えようとしてもできないところ。
こんなところにも気をつけて設計しています。

暑い夏の暑い議論 建築家31会協同組合役員会 @学芸大学

かれこれ5年以上続けている、建築家31会
こちらのブログでもイベントがあるたびにご案内しています。
協同組合になって4年経ち、ますます充実した活動を続けています。
私は昨年より理事という立場で会の方向性を議論する役割を担っています。
面白いイベントをこれまでも行ってきましたが、まだまだ。
どうやったら会の活動、建築家の意義が認知されるのか。
莫大な広告宣伝費にお金をかけるわけではないので、
地道にファンを増やしていくにはどうしたらいいのか。
知恵を使って戦略を考える、これしかありません。
ちなみに、腕を組んで考え込んでいるように見える人が多いですが、
部屋が寒すぎたのも原因だと思います。
公共施設の場合によくあることですが、
暑いと思ってエアコンをつけると冷えすぎてしまう。
消すとじわっと暑くなってくる。
大きな窓の断熱性が低かったり、
エアコンの個別コントロールができなかったりするんでしょうね。
一見すると新しい建物に見えても、まだまだランニングコストを考えた
計画にはなっていないようです。
先日見学した、ピーエスの輻射冷暖房があったらなあと
ひとり夢想してしまいました。

狭小地の一階でも部屋を太陽光で明るくできる光ダクト 東洋鋼鈑ショールーム見学

明るい、暗いは感覚に個人差があるもの。
明るさを何で確保したいのか、も好みによりますよね。
部屋の色、必要なところに照明を、窓を大きくなどなど。
先日、照明ではなくどうしても太陽光で明るさを確保したい、
というお施主さんのためには面白い、「光ダクト」という商品を扱っている
東洋鋼鈑さんのショールームにお邪魔しました。
写真にあるのは、光ダクトから漏れる太陽光だけの部屋の明るさ。
あいにく朝は雨、この時間はくもり空の天候でしたが、
ダクトから漏れる光だけでテーブル周りは十分明るい。
ダクトの反対側の出口はトップライトの真下につながっていて、
ダクト内が特殊加工された反射鏡のようになっています。
太陽光が反射して机の上で開放されているという仕掛け。
机の上にトップライトがあるようなものですね。
壁にかかる植物は本物らしく、成長もしているとか。
トップライトではなく、壁にある窓にダクトを付ける方法なども
別の部屋でサンプルを見ながらご説明いただきました。
建築基準法では人が滞在する部屋を居室と呼んで、
居室には自然光が入るマドを付けることを義務付けています。
隣地からの距離、敷地の用途地域などから計算して
明るさが確保されていることを確認申請で計算書にまとめて提出します。
光ダクトは、今のところ自然光が入るマドの一つに認定されていないので、
個人の希望で付ける、付けないを決めているようです。
近い将来これが自然光の入るマドだと認定されるといいですね。
さて、光ダクトを作っている東洋鋼鈑さんは私も参加している
建築家31会協同組合に協賛会社として加入していただいている会社ですが、
まだショールームに行ったことはありませんでした。
千代田区番町と聞いて、マンションの一室にでもサンプル的に
取り入れたところがあるのかな、程度の認識で行ってみたらびっくり。
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おおきな本社ビルを構えていらっしゃる横に、ひと棟のショールーム棟がありました。
業務のメインは鉄板の薄板をさまざまなものに加工して業者に販売する会社です。
缶コーヒーの缶、電池の入れ物、DVDのディスクなどなど
光ダクトの説明が終わった後に紹介してもらった、本業?の製品たちが
すごかったこと。
おおきな会社に協賛をしていただいていたんだという感慨と
ますますがんばらねば、という思いを強くした見学会でした。

風のない輻射冷暖房という選択肢 ピーエスショールーム見学

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エアコンの風が嫌い。
エアコンは冬に過乾燥になるのが困る。
冷気、暖気が直接当たるところはいい、もしくは寒すぎる、暖かすぎる。
そういった場合の一つの選択肢として、輻射冷暖房があります。
輻射冷暖房を勉強しに、富ヶ谷にあるピーエスのショールームに
建築家31会のメンバーと一緒に伺いました。
室内にある程度の面積の冷温水が巡るパネルを設置して、
夏はパネル表面で結露し、ぽたぽた滴るほど除湿をしながら
やわらかな冷たさを輻射で感じる。
夏の真っ盛りの午前中を狙って、日程をセッティングしたのですが
たまたま雨の降る、それほど暑くない日でした。
それでも室内空気の湿度が低く抑えられているので、
これだけの人数が集まっても不快、もしくは居心地が悪い人は一人もいない
とても良い環境でした。
何より、暑い日に室内に居ながら風がないことの心地よさ、
これは体感してみないとわからない、不思議なものです。
オフィスで仕事をしているとき、
夜寝ているとき、
など静かな環境が欲しいときも、夏場はエアコンの空気が流れる音が
必ずしているもの。
これがない。
ホコリが舞わない。
フィルターの掃除が不要といったメリットもあります。
ただ単純に部屋の壁にエアコンがボン、と出てくること。
これは避けたい。
じゃあどういう方法があるのか。
室内の冷暖房環境を整える方法をいくつか用意しておくこと。
これからも勉強を続けます。

31会 協賛会とのミーティング

協同組合の一人として所属している建築家31会
このブログでもたびたび記事にしています。
昨年からは数人いる理事の一人で活動中。
会の中では協賛会担当、というかたちで活動に貢献することに。
先日は会に協賛をいただいている会社さんとの会議がありました。
場所は薪ストーブの会社、DLDさんの乃木坂ショールーム。
屋外にイスとテーブルがある、カフェのような路地を通って
アクセスするとっても素敵な場所にあります。
会議といってもショールームの一画で珈琲を飲みながら和気あいあいと
今後のことをお互いに協議する場。
より良い関係を構築するために必要なことを確認しました。
ものづくりには必ず作る人が介在しています。
人を知ることで、ただのモノに物語が生まれて愛着と理解がついてきます。
協賛会の方とお話しすることで、
より深く材料や製品のことを知ることができます。
我々も日々勉強しています~。