在来工法で作ったタイル貼りの空間外へ出れる動線をもった浴室

大澤邸007

設計の初期段階では、ユニットバスを希望されていました。
清掃性、コストなどを優先していたのだと思います。
設計を進める中で、以下のようなことを話し合いながら
このような浴室になりました。
屋外にデッキを作って出れる動線をもうけられること、
夏はデッキで子供のプールを作りやすいこと、
デッキが隣りの既存母屋とつながっていて天候の良いときには
行き来動線として活用できること、
たまたま生垣が生い茂っていて、その向こうが集合住宅の駐車場なので
それほど視線を気にせず南側開放の浴室が作れそうなこと、
コスト比較でいうと、出入り口の強化ガラスドアと
強化ガラスのFIXの分くらいが高くなるけど
実は目が飛び出るほどコストアップになる訳ではないこと
等をお伝えしました。
単純にかっこよさそうだから、
という理由だけではなく、複合的に考えて在来工法もありですけどどうしましょう。
という選択肢だったような気がします。
施主の選択方法は明快です。
「建築家と家づくりをするのだから普通ではできないことをやる。ただしコストは重視」
というものです。
この浴室も気に入っていただいて、在来工法で進める事になりました。
もちろん現場では在来工法の浴室は工期がかかり敬遠されがちです。
先日お会いした工務店関係者ですら、どうやって作るのかわからない、
と話していたぐらいなので、世の中一般的にはこういった浴室をつくれる
工務店を選ぶこと自体が大変なのかもしれません。
さてこの浴室はどうやってできているのか、もう少しお話ししましょう。
まず出入り口。
洗面とのつながりを強く持たせるために、透明な強化ガラスだけで仕切りました。
扉やガラスに枠がない分スッキリしますが、デメリットも当然あります。
ドアの入口は、どうしても隙間ができてしまいます。
わずか数ミリの隙間ですが、シャワーの水が扉にかかると
洗面が結構濡れてしまいます。
洗面の床下にも防水層を伸ばして対応しています。
プラスチック製のパッキンを後付けできることをお伝えして
当面はパッキン無しで生活してみようということに。
床は浴室との間をフラットではなく、数センチ段差を設けて、
扉を内開きとすることで、水返しとしています。
床。
サーモタイルというヒヤッとしにくいLixilのタイルをつかっています。
床暖房はありません。
壁。
浴槽側を明るいオレンジ系のタイルとし、洗面まで一体でつなげました。
浴槽の立ち上がりまでオレンジ系。
それ以外の面は白系のタイル。
タイルは25角のモザイクタイルです。
微妙に色むらがある物を混ぜた商品なので、素材の小ささと共に
とても質感のある壁になっていると思います。
サッシ。
引き違いテラスのアルミサッシ。Lixilのアルミ樹脂複合サッシを使っています。
洗い場の床は排水溝に向けて水勾配がついているので、
サッシの下端で5センチほど立ち上がりを付けて、
水を返すのと水平を確保することを考えています。
浴槽の向こう側にもサッシが入り込むので、
外側から見ると、サッシの奥に浴槽の立ち上がりがあります。
サッシの内側には、浴室用ブラインドをつけてあります。
ブラインドは白タイルと色をそろえているので、
閉めた時に部屋の一部になるようにしています。
浴槽。
TOTOのFRP製の浴槽です。
浴槽のサイズは男性と女性で意見が異なったりする場所です。
いろいろ見学して、体験することをお勧めします。
天井。
ケイカルにVP塗装。浴室乾燥暖房機付き。
天井はシンプルにしています。
開口部が大きいので、真冬は冷えます。
家の他の場所で床暖房を選択していれば、浴室も床暖房という選択肢もありますが、
梅雨の時期の乾燥機能が欲しかったので、天井に暖房を持ってきました。
毎日湯舟につかる。仕事を終えて自宅に帰って疲れをとる。
浴室が満足のいく空間に仕上げておくと、1日1階心が満たされる。
こんな贅沢なことはなかなかないと思います。

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