滝川淳が進行中のプロジェクトや日々について書いています。
orange days
少し専門的なお話。
外壁に下地用もしくは耐力壁用として合板を貼る場合、透湿抵抗の低いものを選ぶことをおすすめします。木造の場合、躯体内を乾燥した状態にすることが大事だからです。
湿度を低くしないと、シロアリの被害が受けやすく、また柱梁の腐りの原因にもなります。
冬季の温度差の関係から、室内側からの湿度が躯体内に入ることに関しては、気密シートでシャットアウトすることがやっと一般的になってきました。
たまに知らない職人さんもいるけど。
では外側はどうか。
合板を貼った上に透湿防水シートといって、ゴアテックス素材の住宅版のようなものを貼ることになります。写真の白いシートですね。ではその下に貼ってある板はどうなのか。
一般的に耐力壁用の板というと、構造用合板といって針葉樹合板が多く使われます。ホームセンターにも置いてある、コンパネと同じく一番安い部類の合板です。しかしこの構造用合板が湿気を通しにくい。
一度躯体に入ってしまった湿度は、気密シートのおかげで室内側に抜けることはできず、透湿防水の機能をもつ外側にしか排出できません。
そこで私は耐力壁の機能を残しつつ、湿度を通しやすい板ものとして、ダイケンのダイライトMSを使っています。
少し値段は上がりますが、後から変えようとしてもできないところ。
こんなところにも気をつけて設計しています。
少し前の話ですが、デザインあ展を見に日本科学未来館に行きました。
あ展、のひねりのきいた展示はどれもすばらしく、どれもこどもと一緒に楽しみました。紋を自分で描いてみよう、のコーナーでは図学としても遊びとしても完成されていて、江戸の頃からこれがあったのかと思うと、素直に感動。作業には没頭。
常設展示にはひさびさに行きましたが、新しい科学の情報を盛り込んだ展示に随時更新されているようで、どれも見応え充分。見せ方にもセンスと予算!をかけている。昔、科学館の設計に携わった経験からは羨ましい、のひとこと。国立だもんね。これくらいやらないと。
行く度に娘より感動しているかもしれない動物園。先日は上野へ。上野は少しづつリニューアルを続けているのか、新しい展示が増えていました。それが、シロクマ。
あの巨体をナマで見るだけでワォ、な訳ですが、遠くの陸地に寝そべるクマさんの前にある水面の下に人間が潜れるようになっていました。蒸し暑い日だったので、北極の動物はダレてしまって動かないと思っていたら、水中へ涼みにいらしたのか、泳いでくれました!
水中では動くたびに全身の毛がたゆたうので、とても優雅。しかも結構動く。ちょうど?ちゃんと?アクリルの前に足がかりになる岩場が作られていて、人間の前で水中立ちする、岩場から岩場へ泳ぎまわる。これは面白い。しばらく見とれてしまいました。
大人のみなさん、動物園に行くことありますか?おススメは好きな動物を見つけて、長時間見ること。網羅的にパッパと見るよりは深い感動があると思いますよ。
秋はお勉強のシーズン、という訳ではありませんが、週一のペースで何かしらの講義を聴いている気がします。
先日は建築士の定期講習会。三年に一度受けないと、業務に支障をきたします。この制度が始まって二度目の講習会。思い起こせば姉歯事件以来、建築の世界はさまざまに襟を正す方策をたててきましたが、これもそのひとつです。
朝の9時半から夕方の17時半まで講義。お尻が痛くなりますし、集中力もなくなってきますが、最後にマークシートの試験があるので、寝るわけにもいきません。お年を召した白髪の建築士も散見され、歳をとってからこの講義はさぞお辛いだろうな、とか、自分は何歳まで建築士と名乗れるのだろうと考えてしまいます。
つらいばかりではなく、最新の技術、法律、制度などを網羅的に教えてくれるので、実務面でも参考になる話も多く、お金を払って一日中座っている価値はありそうです。
建築基準法は今年の6月に改正されました。そこそこ大きな改正でしたから、こちらも学ばないといけませんね。
朝霞の家では先日上棟式が執り行われました。雨続きの秋が続きますが、運良く晴れ渡り、施主家族と共に屋根の上まで上がって、すがすがしい気分になりました。
近年の災害、特に雨と風は以前のものより激しくなっています。設計上できることは対応し、現場も影響を受けずに進められると良いです。
上棟式では工務店の社長が神主に代わり主宰し、棟札を祀り、塩、米にお神酒を浸したものを建物一階の四隅の柱にまきました。
施主と各工事を担当する会社が顔を合わせることで、お互いの気が少しでも通じ、引き渡し後のメンテナンスでお会いしても顔のわかる関係が作れます。
ひと仕事終えた、職人さんも皆生き生きとして、とても晴れ晴れしい式でした。