佛念寺庫裏 一年検査


昨年お引き渡しした佛念寺庫裏の一年検査を行いました。建物がひと通りの季節を経験することで生じる歪みや、季節ものの設備に工事上の不具合がないかなどを施工した工務店さんとともに見て回る検査です。
木は生き物です、と言われるように木造の場合は躯体そのものが伸縮するので、引き戸が滑りにくい、鍵が閉まりにくい、左官の外壁にヒビが入った、というようなことも全く無縁ではいられません。
設計の段階、施工の最中なども説明してはいるものの、住まい手にとっては気になるもの。
こういったメンテナンスをするために、工務店と共に我々設計の人間も長いお付き合いをさせていただくことが大切です。

あと工事で作った造作の二段ベッドも居心地抜群です。少し大きめに作ったので、まるでひと部屋増えたかのよう。

こちらは二箇所ある仏間の祭壇に飾られた、門徒さん作の手彫り仏像。新品の仏像、なんてあまり見る機会がないので、まじまじと観察させていただきました。

設計が始まってから約二年半。コンペ、建設委員会での議論、合板を使わない家づくりなど、さまざまな過程を乗り越えてできた建物は私たちの思い入れもひとしおです。住職ご家族、門徒さんたちも末永く満足いただけることでしょう。

竣工写真撮影第2回 佛念寺庫裏


昨年9月に竣工した佛念寺庫裏の竣工写真撮影をしました。
竣工写真という名前の通り、通常は竣工直後に撮影していますが、佛念寺の場合は
追加工事や外構工事を控えていたので、住まい始める部分だけ昨年撮影し、今回もう一度外周りを中心に撮影しました。
カメラマンは坂下智広さん。大学の同級生で就職してからずっとカメラマンとして働いている頼りになるヤツです。
住職ご家族にも大変お世話になり、撮影させていただきました。
住まい始めると、雑然としてしまうのは当たり前のこと。
ただ今回は庭先に立派な犬小屋ができていたりして、男3人がかりで一時移設しました。
ワンコはあれ~?という体でウロウロしていました。ごめんね。終わったら戻しておいたよ。

2018 あけましておめでとうございます

新年あけましておめでとうございます。
年末年始はゆっくり過ごされましたか。
私はいろいろな親族に会う、正月らしい日々を過ごすことができました。
実家2カ所を訪れ、年越しそばを打ち、おせちを食べ、温泉に入り、薪を割り、ベーコンを作る。
書いてみると忙しそうですが、なかなかゆったりしていました。
薪割りをやりすぎて、右肩が痛いのが難点です。
昨年竣工した佛念寺庫裏に、新年のご挨拶に行ってきました。
写真はそのときのもの。
春には外構工事が完了する予定です。
本堂脇にひっそりたたずむ、控えめな建物です。
ことしもこちらで家づくりのこと、日常のことなど
気軽に記事にしていく予定です。
たまに見に来ていただけると幸いです。

自分だけのタイルを貼って家づくりを楽しんだ洗面カウンター

タイル。
魅力的な素材だけれど、嫌いな人も多いですね。
目地が汚れる
拭き取りにくい
主な原因はこれですね。
というか目地以外に不安要素はないくらい。
正直に言います。そのうち目地は汚れます。
それは間違いない。
けれど目地のハードルを乗り越える?目をつぶる?と
魅惑の世界、さまざまな選択肢が広がっています。
まず色。
焼き物でつくられた色はほぼ経年変化がありません。
しかも深い色がある。
タイルによっては色のムラが良い味を出していることもある。
次に耐久性。
目地は汚れても、タイルそのものが汚れるというのは
ほとんど聞きません。
特に磁器質タイルで釉薬が塗ってあるものの場合は、
メンテナンスフリーと言ってもいいでしょう。
(但し目地は別)
そして大きさ、凹凸感、形状、などのバリエーションが豊富。
小さいものでは15ミリ角のものから60センチ、90センチサイズまで
丸いもの、細長いもの、などを細かく貼ることで
ペラっとしていない、存在感のある表層を作ることができます。
さて、今回の事例では。。。
お施主さんはお子さんと一緒に、一部のタイルを作ってきました。
洗面所のカウンターに、これを入れ込んで貼ってほしい!と。
いや~、なんて素敵な提案でしょうか。
図柄は事前にワークショップで決まっていたようですが、
色付けをし、焼いたものが後日自宅に届いたようです。
修学旅行で絵付けをした湯呑みたい?なもの。愛着わきますよね。
いただいたタイルを引き立てるように、周りを白で仕上げて
清潔感のある洗面カウンターに仕上げました。
何年経っても、変わらずここにあり続けるだろう
素敵な洗面カウンターが出来上がりました。

古い家に瓦が載っていた場合は外構に使おう

ただいま絶賛工事中、というか本当は終わっているはずだった佛念寺庫裏。
台風やら、手配やら、何やかんやで遅れておりますが
懸案だった外構工事は、ものすごく良い出来栄えでこちらが驚くぐらい。
植栽は木の成長が止まるこれから植える予定なので
全貌はまだ見えてこないのですが、徐々に建物の足元から完成しています。
写真にあるのは、瓦を縦に埋めてある様子。
今日は古い家の瓦の再利用のお話。
敷地が少し広い建物で、平屋が建てられたりする場合の話に限りますが、
樋を付けない、という選択を積極的に行っています。
樋、というのはもちろん、屋根に降った雨を集めて、
側溝や下水に流すための大事な役割を持っています。
地面に落ちた雨は、跳ね返って建物に汚れを付け、
建物の老朽化を招く原因にもなります。
でも。
付けなくて済む条件が整ってさえいれば、付けない方が建物の外観はスッキリします。
その条件とは。。。
1 軒の出がある
2 雨が落ちる先はの地面は浸透しやすいものである
3 人が出入りする場所には樋を付ける
佛念寺庫裏の場合は、そこそこ大きな平家の建物で
お寺の横に建てる住居だったので、軒のある和風な外観をしています。
そこで可能な限り樋は付けない方針で設計をしました。
そこで登場するのが古い家で使われていた瓦です。
長い年月雨がしとしとと落ち続ければ、どんな地面であっても
洗われてしまい、へこんでしまいます。
地面に排水機能を持たせるために砂利を埋め、
砂利が動かないように瓦で櫛のようにつかんでいるのです。
こうすることで、雨の跳ね返りが抑制され
ある程度コントロールされた雨の通り道ができるわけです。
しかも古い家の記憶をいつまでも継承できるという
すばらしい利点もあります。
ここに至るまでには
解体の時に瓦を手運びで地面に降ろし、
建設期間中に保管できる場所があって、
そのうえで上記のような条件がそろった場合に可能な
少し狭いターゲットのお話ですが、
こうして出来上がってみると、その価値は十分あると思いませんか。

「中庭のある平屋+ロフトの住まい」佛念寺庫裏 内覧会のお知らせ

佛念寺庫裏

この度、私どもが設計監理を行ってきました「佛念寺庫裏」が竣工を迎えます。

お施主様のご厚意により見学会を開催させて頂くことになりましたので

ご案内申し上げます。


本堂の脇に控える場所に、光と影の移ろいをかんじる空間が門徒さんを迎え、

各所に用意された坪庭に導かれて、庫裏は南北に伸びやかに広がってゆきます。

 

土間で語らい、ライブラリーにこどもが集い、仏間で茶飲み会が催される。

庫裏が地域の新たな集いの場となり、地域に開かれていきます。

格子が品格ある会館の顔づくりと住居スペースの

プライバシーにも配慮した仕掛けとなります。

急ではございますが是非ご高覧の上、ご指導ご批評いただければ幸いです。

 

合板を使用せず健康に配慮した構造、仕上。(←相当大変!)、

自主施工の左官、子どもたちのワークショップによるビー玉土間などなど

一見の価値ありです。

日 時 9 17 日(日)1000 1700

    9 18 日(月)1000 1600

構造・階数 木造平屋(在来構法)

設計・監理 コネクト 一級建築士事務所

施   工 有限会社黒部工務店

事前予約先mail info@connect-arch.net


ご来場前にメール、SNS、電話等により必ず事前予約をお願いします。


詳しい場所、地図等はご予約いただいた方にお送りいたします。


>>関連ブログはこちら

>>イベント告知場での記事

平屋プラスロフトのある家 佛念寺庫裏

170608-1.jpg 
意外と広い!じゅうぶんですね。
大工工事真っ最中の佛念寺庫裏。
階段もなく、なかなか上がることのできなかった
ロフトに荒板が貼られたので、施主と共に上がってみました。
平屋の建物は寄棟の勾配屋根になっており、建物の中央部分にできた
空間ボリュームを生かして、ロフトを作っています。
倉庫や収納場所として使うイメージのロフトですが、
ある程度の光や風の抜けを考えておくと、使い勝手の良いロフトになります。
写真はまだ壁が貼られていないので、さらに広さ感が増していますが
壁ができたとしても十分広さのあるロフトになります。
住まいの中央部分にキッチンがあり、どうしても日光が届きにくかったので
トップライトを設けてありました。
その光がロフトにとっても効果的なことがわかり、
急きょ現場でガラスFIXの窓を追加することに。
少しずつさらに良くするために現場に通って監理しております。

合板を使わない家づくり 佛念寺庫裏

杉の荒板の床下地。掘りごたつ用の穴。
山梨ではなぜか掘りごたつの事例多し。

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外壁の下地荒板。この上にモルタル下地を作ります。

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筋交いで耐力壁を作る。
庫裏の住居部分は合板を使わない家づくりを試みています。
シックハウス症状がある住まい手のために、合板や接着剤を排除する。
書くのは簡単ですがいざ実践してみると、作り方、コストなど様々なハードルがあります。
柱・梁は無垢材を使います。
材料強度や施工後の動きなどを考えると、集成材の方がバランスが良かったりしますが
集成材は接着剤でくっつけたもの。使いません。
床・壁の下地には荒板を使います。
床の場合、通常は3×6版の12mm合板や剛床の場合は24mm、28mmの合板を使うと
大引、根太が省略できて、現場作業も楽だったりします。
壁の場合、内壁はプラスターボードを使うので大丈夫ですが、
外壁は構造用合板を使って耐震壁にすることが多いですね。
これも使いません。
耐震壁には筋交いを使います。
構造用合板の方が強いので、穴の開けられない壁が少なくできます。
今回は平屋建てなので、それほど多くの壁が無くて良かったので
筋交いで耐震壁を作っています。
書いてみると、昔ながらのつくり方をする、ということですね。
ひとつひとつ手間をかけて家づくりをすることなのかもしれません。
住まいの骨組みはひとまず問題なく合板を使わずに作れています。
問題は内装工事です。
壁は何で仕上げるのか。
扉は何で作るのか。
昔ながらの家のように壁は漆喰左官。
扉は無垢の板、という訳にはいかないのです。
お金をかけずに合板を使わない家を作る、これが課題です。
この後も引き続き現場からご報告します。

外構


昨日、山梨庫裏にて庭の打合せ。
建て方したばかりで、庭作りはまだまだ先ですが、庭師さんが桃農家兼業。
桃の花が咲き始めると忙しくて打合せ出来なくて9月まで捕まらない(笑)
前前倒しの打合せ。
仏間大広間からは、今まで見られる事のなかった立派な松とサルスベリの大木がどーーーんと窓正面に。
花見の特等席。
皆さんと気持ちよく呑める日を夢見て、丁寧に進めていきます!

上棟しました


 

今週の始め、山梨の庫裏が上棟しました。
住職が住まう住居部分と、門徒さんたちが集う共有部分とがあり、
一般的な住居と比べるとかなり大きな建物です。しかも平屋。
長い建物だけに基礎や土台敷きには時間がかかりました。
上棟当日は関係者による簡単なお経を挙げ、本堂で食事会となりました。
中庭のある家、平屋、合板を使わない家、などテーマはいろいろあります。
進捗あればまたご報告しますね。