外に出ることができる浴室

 

浴室から直接外に出ることができる住まいを多く手掛けています。
そのメリットなどについて書いてみたいと思います。
1 窓が大きくなり、解放的な浴室になる
2 浴室の洗い場を住まいの動線として考えられる
3 外遊び後の洗い場として浴室が使える
といったところでしょうか。
小さなお子さんがいるご家庭の場合は、
泥んこで帰ってきたらお風呂から家にあげましょう、とか、
夏のビニルプールがやりやすいですよね、といったこともお話ししています。
とはいえ何と言っても解放的な浴室になること。これが一番です。
カラスの行水だったご主人でも、提案に乗ってくることが多いのも事実。
写真にあるように、天井いっぱいの引き違い窓を設ければ、
入浴後の湿気も簡単に排出されます。
直接外に出れるようにするにはプラン上の工夫が大事です。
ある程度の採光と、プライバシーが確保できる配置を考え、
他の部屋とのバランスを考慮しなくてはなりません。
1階に設けることも大前提なので、
計画の初期段階で決めないと、上手く納まりません。
よーく考えて実行してみてくださいね。

木製ドアと墨モルタルでしつらえた奥行きあるアプローチ


玄関は家の顔。
門をくぐって庭木を眺めながら玄関に至る、なんて理想はありませんか。
敷地に余裕はなくとも、建物の少し奥まった場所に玄関を開けるだけで、雰囲気あるアプローチにすることができます。
私は玄関扉に既製品を使うのがしっくり来ません。何ヶ月もかけてこだわって家づくりをしているのに、顔になる部分がどこかのカタログにあるようなものになるのですから。
写真の事例では、床を墨モルタル仕上げ、玄関扉を製作ものの木製ドアとして、他にはない、しっとりとした感じを狙いました。
建物の外壁はモルタルリシン。
ごくありふれた材料を使っています。
玄関を木製にするには、敷地が防火、準防火地域でないなど、法律のハードルもあります。都市部では、スチールやアルミの防火戸でないと建築許可がおりませんね。
もちろん木製ドアにも防火認定を受けた製品もありますが、横にはめ殺しのガラスを入れたり、素材を吟味したり、という自由はありません。
耐久性のためには、庇があって直接雨がかからないことも大事です。
防火のハードルがない場合は、ぜひ木製ドアの玄関扉を検討してみてくださいね。

家のカタチを考える


家の外側のカタチ、色、素材は
都市部の狭小地でなければかなり自由です。
シカクい家。
勾配屋根の家型。
正面に窓がない家。
和風、リゾート。
家のカタチを考えるときは、屋根がどんなカタチになっているのか、軒の出があるのかないのかを主に考えると良いです。
写真にある家の場合、左手と右手の両側に小さなお寺があったので、景観を守る意味でも方行の屋根にしました。
屋根の素材は瓦に近い、ガルバリウム鋼板の銀黒色とし、葺き方も瓦のように見える横葺きにしました。横葺きの中でも、一文字葺きにすればさらに瓦に似せることができましたが、遠目に見て似ていれば十分だと判断しました。
軒の出はしっかり深く取りました。
外壁に落ちる影。
軒下空間を多様に使うことを想定したからです。
方行の屋根が、ひとつ屋根の下という家族の一体感も生んでいると思います。

リビングの一部がこども部屋、客間に変わる建具の使い方


家づくりをスタートするきっかけは、家族の人数が増えたから、が一番多いでしょう。こどもに部屋を与えたい。親と同居するために。
愛するこどもに良い環境を整えるのは当然。だけど、こどもと一緒に家で過ごす期間は実は短いことはご存知ですか?小学校入学前から大学卒業までとして、16年。でも家は少なくとも50年は使います。
こどもが使わない期間のこども部屋をどうするか、を考えると永く使える家になると思います。
写真の事例では、リビングの一部をこども部屋にする予定です。左手奥に見える建具を閉めて、まず一部屋を作ります。足りなければ、建具をいったん外して、少し手前にある建具枠まで動かして閉めます。真ん中をパーティションで仕切れば、ふた部屋できます。
写真の建具位置は撮影用で、施主は現在は右手の本棚の並びに置いているはず。そうすればひろびろリビングになります。
一部屋の場合には、客間として利用することもできます。
建具の使い方だけで、いくつも間取りを変えられることができるんですよ。

採光や換気を考えて居心地のいいロフトを作りませんか

シホウニワ012 

小屋裏収納、ロフトという言葉からイメージする空間は
物が置かれる薄暗い場所、というものではないでしょうか。
真下にある部屋に付属するスペースという位置づけは間違っていないのですが、
ちゃんと計画したロフトはとても居心地がいいのです。
採光、換気を確保し、場合によってはエアコンを設置。
一つの部屋だけでなく、複数の部屋とつながっていると
意外と簡単に採光換気は確保できるもの。
法規上天井高さの制限として1.4mまでとなっていますが、
小学生低学年のこどもなら普通に立って動ける高さ。
大人でもキャスターの椅子に乗って移動すれば動けますよ。
写真にあるロフトの場合、
縦格子の引き戸を開けると、リビングとつながることができます。
奥に見える明るい場所はこども部屋とつながっています。
左上に見える明かりはトップライトから落ちる光です。
写真には見えませんが、右側にエアコンを設置し、
なぜかTV用のコンセントまで用意してあります。
こどもごころを持った施主のご主人が、
大人男子のたまり場にしたい、との希望で
当初は簡易に作る予定だったのですが、
現場に入ってからグレードアップしたロフトになりました。
居心地のいいロフトつくりませんか。

洗濯ものをどこにしまうか問題を解決した洗面脱衣


共働きの夫婦にとって、
いや全ての生活をする人にとって、
洗濯もの動線をうまく解決することは
家づくりの大事な要素です。
入浴前に服を脱ぐ、
家族全員の服をまとめる、
洗濯前に分類する、
洗濯機を動かす、
外もしくは部屋内に干す、
乾いた洗濯ものをたたむ、
家族それぞれの収納にしまう。
書いてみると、長い作業ですねー。
これが毎日ですからね。
山梨市の住宅では、一連の作業の後半部分を
洗面脱衣室で完了できるようにしてあります。
まず室内干し用の物干し竿を天井に用意。
立ったまま洗濯ものが畳めるように
90センチのカウンターを設置。
下部に家族それぞれの下着が入れられる個別収納を入れる。
ちなみに収納は無印良品の既製品を利用しています。
シャツなどの大物が畳めるように、カウンターの一部には引き出し式のテーブルを仕込む。
タオルは畳んだ状態でピッタリの奥行きとなるような
オープン吊り戸棚にしまう。
設計段階では下着だけを洗面脱衣に、と考えていましたが、
下着だけだと半分も埋まらなかったので、
現在はさらなる活用がされていると思います。
見学会でこの洗面脱衣を見た、特に女性は皆うらやましがってしましたね。
しかし、これらの要望はご主人から!
洗濯担当のご主人は、深夜帰宅後の作業をいかに簡略化するか、日々練っていたことと思われます。
とここまで書いておきながら、
見た目や、デザイン優先で、
洗濯もの動線が長くなっている事例も正直多いです!
どちらを優先するか、しっかりと話し合って、ベストな解決を図りましょう!

間取りの工夫で極力廊下をなくしてコンパクトな規模に抑えた家

シホウニワ010 

家、というのはどのくらいの延べ床面積があれば必要十分な広さなのか。
とても難しい課題です。
家族構成、人数、ご高齢の方がいるかどうか、敷地形状、周辺環境。
持っているモノのボリューム、建てる時の年齢。
もちろん予算も関係します。
ということは回答はひとつではない、ということです。
建築家のしごとは、それぞれの家族にとっての最適解を毎回考えて、
こんな家がいいのでは?と提案することでもあります。
さて写真にある山梨市の住宅の場合のお話をします。
設計がスタートしたときは小学校入学前のこどもが二人いる家族でした。
ひと部屋で川の字になって寝る、仲の良い家族。
こどもには受験勉強などの一時期だけ個室を与えるけど
基本はワイワイと一緒に過ごすための広いリビングの方が大事。
間口がゆったりとした、広めの敷地で、西側にお寺の駐車場がある以外は
ブドウ畑が広がっていて、閉じなくてはいけない方向が少ない敷地でした。
そこで提案をしたのは、みんなで寝る寝室以外に個室のない家。
ダイニングキッチンは施主の希望でリビングから離し、
リビングだけで20畳もある広さを確保しながら、
全体で30坪を切る、コンパクトな平屋の家でした。
コンパクトな家の場合、いかに廊下を無くすか、
部屋と部屋をどうつなげるか、が重要になってきます。
この家の廊下は、写真の真ん中にある部分だけ。
手前が20畳のリビング、廊下を挟んで奥がキッチンです。
右側に見えるのが玄関。
廊下の突き当たりはキッチン動線にもなっているので、
お母さんがキッチンに立てば、家のほとんどが見渡せます。
廊下は、移動のための空間です。
気持ちの入れ替えができたり、ちょっとした風景が見えたりすると
移動時間も楽しく心地よくなるのですが、
冷暖房を用意しないのが一般的なので冬は寒くなりがち。
部屋から廊下へ出たら扉をピシャっと閉めるので
ますます他の部屋と一体で使うということは考えられません。
もし少なくできるのであれば、
少なくした方がメリットは大きいと思います。
仲の良い家族だったから実現した家なのかもしれませんが、
家が家族の距離を縮めることだってあるのだと思います。
コンパクトな家、考えてみませんか。

タイル貼りの在来浴室の掃除を楽にする工夫


注文住宅なんだから在来浴室にしましょう。
私が良く使うセリフです。
キッチン、浴室、建具、家具。
どれも既製品はあります。
ショールームに行けば、現物が確認できるし、値段もわかりやすい。
痒いところに手が届く仕掛けもあります。
でも、いわゆる特注にしても、そんなに高くないんです。
もし目が飛び出るほど高くなった経験がおありの方がいるとすれば、
材料や機能などの仕様をグレードアップしたことが原因だと思って間違いないです。
山梨市の住宅でも浴室を在来工法とし、床と壁をタイルで仕上げました。
在来の浴室で問題になるのが、目地の掃除。
カビが生えるから嫌だ。よくわかります。
ここでは目地を黒くして、汚れを目立たなくしています。
決して汚れがつかない訳ではないですが、大目に見れる、という利点がある。
雰囲気もレトロな感じになって、ピカピカの新品っぽくありません。
完全なる解決という訳ではないですが、
こんな在来工法の浴室はいかがですか?

引き戸を使うと実現できる部屋と部屋のつながり


みなさんが間取りを考えているとき、部屋と部屋の境い目には線がありますよね。この線は、現実の住まいでは壁だったり、建具だったりします。
建具には主に、丁番を軸にして回転して開く開き戸と、扉の上もしくは下にローラーがあり壁に沿って動く引き戸の二種類があります。
わたしはこのうち引き戸をうまく使うと効果的な住まいができると考えていて、よく利用します。
写真の真ん中にあるのが玄関です。
実は玄関の向こう側にもこちら側にも引き戸があるのです。この場合は引き込み戸と呼んでいます。開けた時に扉が壁の中に仕舞われてしまうからです。
開いている時には手前の部屋と玄関がつながって、ひとつの部屋のように見えませんか。奥の部屋と玄関も同じ関係ですよね。
扉の存在が薄れているので、間取りを考えていた時の線がなくなっているかのようです。
とはいえ効果的な引き戸を実現するためには、しっかりとした設計、図面が必要です。開き戸と違って、ひとが歩かない先に扉だけが移動するので、壁につけたかったコンセントやスイッチの位置に制限ができたり、天井いっぱいの高さの建具をつくるのが難しかったりと、すっきり見せているところにこそ苦労が隠れています。
良い設計には良い引き戸が使われていると思いますよ。一度本を見てみてください。

リビングとダイニングを分ける良さ


LDK至上主義になっていませんか?
LDKが広いといい!
他の部屋を狭くしてでも広く、とか。
その時の前提として、
リビングとダイニングとキッチンをひとつにしていますよね。
果たして三つがひとつになることが正解なのか。疑ってみることも大事です。
リビングを「客間」ととらえると、日常的な場からは離した方がすっきりします。
またキッチンを「厨房」のようにガンガンと料理をしたいひとは、扉を開けてキッチンがあるほうが、LDが汚れなくて済みます。猫などペットを部屋飼いしている人も、別れていた方が安心です。
写真の家では、来客をダイニングに通すのでリビングと分けたい、というご要望でした。手前がダイニング。玄関を挟んだ向こうがリビングです。玄関は土間の下足空間ですが、スノコを敷いて行き来もしています。
食事時間からリラックスの時間までをずるずると移行しないことにも役立ちますよね。
固定観念を持たず、生活スタイルに合った家づくりをする。満足のための第一歩です。